なぜ日本人はかくも「紙」にこだわり続けるのか?
30年間で文房具はこんなに変わった〈後編〉
■終わらない手帳ブーム
毎年10月になると、書店や文具店の店頭にはスケジュール手帳が並び始める。これも電子化で消えていくと考えられたが、いまだにスケジュール手帳は人気が高い。それどころか、新しく手帳に参入する文具メーカーや手帳メーカー、出版社も多数ある。
個人プロデュース手帳のさきがけとなったのは、経済学者・野口悠紀雄監修の『「超」整理手帳』だろう。現在は角川書店から発売されている。1996年に発売されたこの手帳は、A4四つ折りサイズ、ジャバラ式という形になっており、長期的なスケジュールの管理がしやすい。ちなみに筆者が使用しているのもこれだ。
一般の人はそこまで長期のスケジュール管理を必要としない一方、日々のこまごまとした時間管理が必要なため、バーティカル式の手帳が流行るようになった。一日の時間を縦に、それを1週間横に並べるというもので、スケジュールを細かく管理したい人には人気が高い。
電子化が進む中、紙のノートと手帳は、かえって人気が高まっていると筆者は見る。この30年、手書き文化は生き残り、繁栄している。